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私は歯科技工士です。長くデンチャーを作っています。篤次朗<とくじろう>という名前で、デンチャーを気ままに語りたいと思います。          (Dental Today <医学情報社>に毎回連載中)
良質な歯科医療の崩壊?
やさしい女性の声で、「仕事を依頼したいのですが、一度来院していただきたい。」という電話があり、指定の時間に予約を入れ、わくわくして料金表と作業表を持って、車で高速道路を使い2時間の歯科医院を指定の時間にご挨拶とお話を聞きに伺ったところ、診療があと1時間くらいかかるのでお待ちくださいということで待っていた。1時間半過ぎに院長室に呼ばれ会談となった。「今まで仕事をしていた歯科技工士が廃業したので仕事を受け継いでほしい。」とのことであった。間髪いれず、「条件は以前の歯科技工士と同じ料金で保険歯科医療最高の技工をしてほしい。宅配はしない、週に3回以上集荷に来てほしい。」料金表を見てびっくりした。見たことがないくらいの低料金であった。この料金を見て廃業された歯科技工士の苦労が伝わってきた。良質な歯科医療なんて程遠く、私が考える正当な歯科技工の経費と対価は望めないと感じたが、営業として私の料金表をお見せしたところ、内容を見ないうちに、「以前の料金以外受け付けない」と言われた。私は「こちらの意見を聞いていただけない条件では最善を尽くせない」と伝えて医院を後にした。振り返ると立派な診療室であった。いつもも思うのですが、良質な医療をするためには、お互いの意思や技術のすりあわせをして、お互いに最善を尽くす業種であると思う。歯科医療の中で保険歯科医療の対価は歯科医師が国に対して請求するシステムであって、歯科技工士は国から何の保証も財産権も請求権もない。歯科技工士は保険歯科医療従事者ではなく、歯科技工所は保険歯科医療機関ではない。歯科医師から評価された対価だけがすべてである。良質な歯科医療をするためには歯科医師から適正な対価をいただけなければ、歯科技工士も歯科技工も退化してしまう。歯科技工士の現状として、定員不足による技工学校の廃校、高離職率、30%を越える歯科技工士の高齢化、激減傾向にあって、本当に歯科技工士がいなくなります。今まで歯科技工士に頼んでいた同じ料金で歯科医師は歯科技工ができますか?良質な歯科医療をするためには歯科医師と歯科技工士は仲良くしなければならないことに気がついてほしい。
| Dental Design | 11:32 | comments(2) | trackbacks(0) |
歯科金属アレルギー
久しぶりに会った知人が、夏だというのに手袋をしていた。理由を聞くと手のひらが真っ赤で皮膚が崩れていた。市販のクリームを塗っても改善せず困っていた。もしかと思い"歯科治療をしましたか?"と尋ねたら、歯科治療をしてから発生したという。今までは自費治療で「ゴールド」を被せていたのだが、今回保険の被せ物を入れてもらったそうです。金属アレルギーの疑いを感じたら皮膚科でパッチテストをしてもらい、判断するのが確実であり、反応した金属を排除するのが良いと思う。一般の人がどこまで金属アレルギーの異常に気がつくのであろうか。以前に「水銀」のアレルギーで来院された患者さんは全身に症状があり、倦怠感や皮膚の異常で会社にも行けない患者さんを担当したことがあり、条件の合う歯科用金属を選択し、一つの金属で再補綴することにより改善し社会復帰されたことを思い出しました。また私の従業員にも一番アレルギーになりにくい「プラチナ」に反応した人がいた。口内炎やアレルギーの発症は条件や体調など個人差があり、パラジュウムや亜鉛に反応する人もいるそうです。口腔内に異種金属が介在するために起こる電位差による刺激なども発症の原因になると言われている。私は長く技工をしているが、基本的に1口腔1金属が望ましいと極力異種金属を使わないようにしているが、以前に他で治療した金属は判断がしにくく、可能な限り高カラットの貴金属を推奨している。金属の決定は歯科医師にあり、自費治療で歯に被せる金属は「ゴールド」を使うが、デンチャーには「コバルトクローム床やチタン床」を選択する歯科医師が多くいるように感じる。確かにここ数年貴金属の高騰により「貴金属」は使用しにくい。私は金属屋さんの回し者ではありませんが私は30年以上デンチャーにも白金加金を使っている。現実に口腔内の金属によるアレルギーとは判らずに困っている人がたくさんいるのではないでしょうか?歯科用金属はほとんどが合金であり、配合されている金属の溶質なども気になります。その後、私の知人は入れていただいた歯科医院で保険のクラウンをはずし、「ゴールド」のクラウンに取り替えたそうです。徐々に改善し始めているそうです。メタルフリーも含め、最近流行のジルコニウムも金属であり、できるだけ安心・安全な危険因子の少ない歯科用金属を選択したい。

| Dental Design | 15:05 | comments(0) | trackbacks(0) |
義歯製作はコミュニケーションが大事
義歯を作るにあたり、歯科技工士にとって歯科医師は「敵」ではなく、歯科医師にとって歯科技工士は「手下」ではない。歯科医師が時間をかけ患者さんより主訴を聞きその義歯作りに大切な情報を歯科技工士に上手く伝達できないことにより理に適う義歯が作れない。もしくは作ってもらえない。歯科技工士の中には日ごろ机に向かいもくもくと製作する職人肌の方を見かける。歯科医師と上手く会話ができない人がいる。適切な会話教育を受けてないので上手い情報交換ができず、仕事を請けてから悩みながら作業してしまうという話も良く聞く。気軽に普通の友達と会話するような接し方ができたらよいのだが、仕事となればそれはできない。「医師と話す」というプレッシャーに戸惑う。「知識が無い」と自己判断し、怖くて言葉を選択できず黙ってしまうこともある。歯科医師の中にも「技工の知識」に乏しく、会話ができない医師がいることも確かである。また模型を渡せば出来てくると勘違いする歯科医師もいる。お互いに自分のできないことを分かり合い助け合い理解し合わなければ良い義歯は完成しない。仲良くすることにより、協力し合える。それにより正しい情報が相手に伝わるものと思う。間違ったとしても訂正できる関係でありたい。歯科医師と歯科技工士間の情報伝達は同じ目標に向かい同じ物指しで考え、歯科医師は患者さんから何を聞き何を伝えなければならないのか、歯科技工士は義歯を作るために何を伝えてもらわねばならないのか、伝達の方法として、写真を添付する、模型や歯科技工指示書に明記する必要性、それを確実に読み取る必要性がある。お互いに理解し合える関係が成り立てば、患者さんに満足していただける義歯ができるものと思う。本来なら自分で義歯を作る技術を持っている歯科医師が現在は歯科技工士に任せることが多くなってきている。問題とされることは、歯科医師の的確な指示が無く必要な情報が得られずに歯科技工士が判断し、技工物を作ることのより、歯科医師や患者さんに満足な結果が得られないことです。歯科医師と歯科技工士の必要不可欠で最小限のコミュニケーションとは何かを考え、患者さんに喜んでいただける義歯製作という共通の目的に向かって、お互いに知恵を出し合い、共通のコンセンサスが得るかが重要で、それこそが真の意味での歯科医療のレベルアップにつながる。そして確かなコミュニケーションの結果、患者さんの笑顔が得られるのではないでしょうか。
| Dental Design | 01:41 | comments(0) | trackbacks(0) |
義歯のトレーサビリティ
「トレーサビリティ」最近、よく聴く言葉です。調べてみると、「対象とする物品の流通経路を確認できるようにすることである。これは、その対象に対して誰かしらが関心を示されたある時点よりさかのぼって、あるいはそれ以降の経過を、時間や空間を特定し理解することが可能な数値や名称・記号(バーコードなど)などでその物品を同定することにより、それに関する情報を表現することであるが、サービス形態としてはその情報を記録し提供することを指す。」と記されています。牛肉の輸入問題や、中国からの食品関連問題、国内における食品の賞味期限、期日の問題などが知られていると思うのですが、スーパーなどの野菜や食品に何時何処で誰が・・・明記されているのは皆さんは既にご承知ではないでしょうか。では義歯に関しては如何な物でしょうか?常に生体の中で長期に使用される物が、薬事法での承認・認証を取得していない材料を使用し、何処で誰が作ったか判らないのが一部に見られる現状が最近聞かれる様になってきております。日本の歯科補綴の現状は大丈夫なのでしょうか。歯科技工指示書の義務があり、歯科技工所構造設備基準や歯科技工録などの対策がなされているようですが、上手く機能しているかどうかは疑問に感じます。また、最近、外国で製作された義歯が輸入され歯科医師の責任の下、患者に使用されるケースがありますが、一概に言えることではないですが品質は確保されているのでしょうか?日本国内では基本的に歯科技工士の国で認めた免許を所有しないと、歯科補綴の製作することができません。免許の無い者に製作させたら罰せられます。と言うことは、適正な材料を選択でき、適正な技術で製作できないと認められないことになります。作った物の責任追及ができないと、困るのは患者さん!目の前にいる歯科医師が作っていると思っている患者さんがほとんどでしょう。知らないうちに体の中に追求できない物が入ってしまう恐れはないのでしょうか?こんな事を感じるのは私だけでしょうか。魚だって野菜だってトレーサビリティが当たり前にされています。義歯は何時何処で誰が作った物なのか、私たち歯科技工士は安心・安全に使える信頼のおける義歯を提供したいものです。貴方の口にある義歯は誰が作った物ですか?歯科医師に確認してみましょう。うそは言わないはずです。
| Dental Design | 11:36 | comments(0) | trackbacks(0) |
技工料金
先日仕事があるから取りに来てくださいというお電話をいただき、指定の時間に受け取りに行くと、歯科医師に患者さんが診察室にいるので、“立会いをしてください”ということなので古い義歯の不満や新しい義歯の要望をお聞きしました。1時間ほど先生と情報交換いたしました。
2時間の交通費と立会い料を請求したところ却下されました。理由をお聞きすると仕事を取りに来て請求するのはおかしい。そんな請求をした歯科技工士は私が始めてといわれ、後の仕事もいただけませんでした。指定された時間に時間と交通費を使い、患者さんのために良い物を提供するための時間は、“無料”なのでしょうか?それは仕事ではないのでしょうか?いつも疑問に思うのですが、技工料は誰が決める物なのでしょうか?厚生労働省の技工も知らないお役人が決めているのでしょうか?良く聞く話に歯科医師が戴く保険料から歯科医師の儲け分を差し引いた金額が技工料だと良く聞かされます。どこかの大きな会では、7対3などと言うわけの判らないことを平然と言っています。正確な技工料金はないと思います。私は技工を始めて30年以上になります。未だに現役ですが、技工料は自分の技量に材料を足した料金です。良い義歯を作るための手間のかかった技術は個人差はあるが料金は高いのが当たり前、無料な仕事はボランティアであり、業とは言わない。不明瞭な料金をつけているから、仕事はきつくなり若手に負担がかかり技工をやめていく。同業者に腹が立つ今日この頃。歯科技工士に夢や希望を与えなければ近い将来歯科技工士はいなくなる。その代償は歯科医師と患者さんに行く。
| Dental Design | 10:17 | comments(0) | trackbacks(0) |
歯科技工士の現状
12月に入り、義歯製作に追われている歯科技工士が多くないでしょうか?
年末に歯を治して、良い正月をと思う患者さんがたくさんいるのでしょう。
近年、歯科医師数90000人を突破し、100000人に届くのも遠くはないでしょう。まだ増える状況だそうです。最近患者さんが減った歯科医院も多くあるとよく耳にします。義歯に関しては、増加傾向にあり、これから団塊世代の多くの方々が、義歯年齢になってきます。現在歯科技工士は忙しく寝る時間も惜しんで義歯の数はこなすが利益に繋がらないのはなぜでしょう。大手技工所の義歯単価が上がってきている事にお気ずきになりませんか?外注技工をする方が減ってきているからです。義歯を作る歯科技工士の数が極端に減少してきているからです。平成16年の厚生労働省のデータから、50歳以上の歯科技工士が10000人以上います。多分今義歯の大半を製作しているのが、この年代でしょう。25歳未満の歯科技工士数が2500人に満たない、歯科技工士学校はほとんど定員割れ、歯科技工士のなり手がないのです。多分ここ5年から10年の間に現在総数35000人の歯科技工士数が20000人まで落ち込むと予想されます。なおかつ義歯を作るベテラン技工士が極端に減るでしょう、若い歯科技工士は利益率の良い、インプラントやポーセレンに目が向いているような気がします。これから義歯の数は増えるが義歯を作る歯科技工士がいない。歯科医師5人に対して1人の歯科技工士では、どう考えても対応できない。そのことを知らないのは誰でしょう?義歯を海外で作ると言う話、日本の免許を持つ歯科技工士以外が造っても判らない現状。手の足りない大手技工所などは、作業単価の安い海外に発注、もしかして患者さんも歯科医師さえもわからないうちに、技術や材料の不安な外国製の補綴物などが多々出回ってきている可能性すら感じます。当然厚生労働省もこのデータを把握しているでしょう。止められない海外流失の背景は日本国内の歯科技工士の減少があると考えられる。義歯の価格の問題、品質の問題、私が予測すると義歯の値段は確実に上がっていくでしょう。歯科医師は良い義歯を作る良心的な歯科技工士を確保しなければ、成り立たない時代がすぐそこまで来ています。いつまでも安価で義歯は作れない時代になることにそろそろ気がつきましょう。技工のできない歯科医師や歯科医院の運命はこんなところにキーポイントがあると思われます。もうすぐですよ!!!いい加減に義歯は国を挙げて考えないと・・・・困るのは患者さん。私はコツコツと義歯をできる限り作るだけ。
| Dental Design | 09:17 | comments(0) | trackbacks(0) |
インプラント考
最近、私の身近な人から、「インプラントをしたいのだがどう?」と聞かれることが多くなったことに何か不安を感じています。「近所のおばさんが高額のインプラントを入れた!入れ歯にしたくなかったからだって」などという話が普通の会話がされるようになりました。私自身がインプランとを入れるかどうか聞かれた時は、現時点では“NO”と答えます。家族にも当然勧めません。よく宣伝文句にインプラントは、よく噛めるといわれていますが、確かに噛めると思います。同じ噛むなのであるが、自分の歯であれば、歯根膜の感覚授与器により、たとえばご飯の中に石が入っていたとすれば、石に歯が触れた瞬間に、噛むのが止まりますが、インプラントには感覚授与器が無く石は噛み潰されます。インプラントの噛めることが利点としているならば、それは欠点であって生体の秩序を乱す物だと思います。“噛む違い”?“勘違い”・・・私は素人ながら口腔内の環境を考えて感染症も心配になります。以前にある医師のブログを拝見した時、そこにこんなことが書いてありました。“腕や足が無くなってしまった人の肩や膝から金属の棒が出ている人がいますか?口腔内は体内なのか?歯科にはすばらしい考え方があるのだろうか?歯科医師の管理と責任は重大であろう”と書かれていました。インプラントを入れていただいた先生と患者さんはその後一生のお付き合いになりそう。インプラントの寿命は5年から10年と言われていますが、その後はどうなるのだろうか。インプラントを外した骨の無い顎に義歯を入れるのだろうか?益々難しい義歯になりそうな気がします。私は健全な顎を残したいと考えます。義歯であれば、粘膜という感覚授与器がある。自分の体の分身はあくまで分身。万人の生体は年と共に老いていく。自分の歯であれば健在であってもやはり老いていくもの、経年変化に対応できる方法を私は選びたい。
| Dental Design | 03:41 | comments(12) | trackbacks(0) |
レジン床は生き物
義歯といえば、歯科用アクリルレジン。適正に製作すれば、口腔内において、強さ、硬さが十分であり、安定性が良く、吸水性が軽微であり、悪臭、刺激、毒性が無く、滑沢できれい作業がらくで、簡単に修理ができ、粘り強さがあり耐久性に優れる。この材料は数十年使用され、それを超える材料が今だ現れない。私は長年使用して思うことは、レジンの適正な使用法を知らなければ、上記のような条件を満足できることができない。残念なことに不正をして製作されたレジンも完成後は誰が見ても判らぬ同じレジン。間違って作れば毒にも害にもなる。しばらく使って違いが判るもの。作った人の良心に任される。適正な重合や配慮が必要であり、いい加減な重合や製作法では調和は得られない。私はレジン床は生き物だと思っています。やさしく扱いたい。適度な吸水を有する性質は唾液を吸い込むことで、生体の一部になり、義歯に生体が調和していくことも考えられる。調整された義歯を装着した初期の段階では、違和感があるが、義歯は使用していくうちに違和感がなくなっていくもの。たとえば抜歯窩のスペースを空洞にしておくと自然に義歯の形に生体が形成されるはず。レジン床は生体に調和しやすい世界で一番使われている義歯用材料。たかがレジンされどレジン。40年以上使われている義歯を見たことがあります。義歯も粘膜も顎も健全でした。私の目標です。
| Dental Design | 09:28 | comments(0) | trackbacks(0) |